2019年02月12日

守りたい遺産、旧大宜味村役場庁舎

Mayplan Lifestyle designの金城 雅子です。
ライフワークとして「沖縄生活文化研究所」を2018年に開設。
沖縄の人たちが織りなす美しい「人の暮らし」が、沖縄のもっとも誇るべき魅力で
あると考え、その英知の継承を通して人を幸せにするものづくり(創造)を目指し
始動しました。

やんばるの魅力は、雄大な山々や滝を有する川、どこまでも広がるように見える海と空を存分に満喫できるところです。
でもその魅力はそれだけではなく、自然とともに生きる人たちの豊かな暮らしと知恵があることです。

歴史を辿り知る事で、その土地の魅力を益々感じることができると実感しています。

やんばる大宜味村には、沖縄で現存するもっとも古い鉄筋コンクリート建築の
【旧大宜味村役場庁舎】があります。
守りたい遺産、旧大宜味村役場庁舎


もうすぐ、かじまやーを迎えようとするこの建物は、1925年、大正14年に落成。
平成24年に米寿のお祝いを開催した事は新聞などでも取り上げられました。
2017年、平成29年に国の重要文化財に指定されました。

設計は、沖縄コンクリート建築の父と言われる清村勉氏。
日本でもまだ普及していなかった鉄筋コンクリート建築を沖縄で初めて手がけ、
普及させた方です。沖縄の風土に即した建築の設計に取り組み、北部を中心に
多くの公共施設を建てられました。

清村さんが手がけたそれらの多くの建物は惜しまれながら解体されましたが、
旧大宜味村役所庁舎はその姿を見ることができる貴重な建物となりました。

その当時は、多くの生活物資は那覇から船で運ばれてきたそうで、
山原船を入り江に接岸させ、セメント樽や資材を運びいれたそうです。

機械のない時代に、全て手作業で工事は行われ、3日掛かるスラブ打ちは、
大工や作業員だけでなく、多くの村民を含め総勢200名が関わったといいます。

守りたい遺産、旧大宜味村役場庁舎

守りたい遺産、旧大宜味村役場庁舎

工事を請け負ったのは、首里からくる大工ではなく、大宜味大工(うじみぜーく)
と言われる地元の大工さん達でした。
その後、沖縄の戦後復興を建築の分野で支えてきた方々です。

約100年前の建物とは思えないほどの形の独創性、ディテールの細やかさ、
人を惹きつける雰囲気を持っています。
そして何より技術の高さを知ることができます。と同時に、当時の大工さんたちの
ここに込めた心意気を感じます。
守りたい遺産、旧大宜味村役場庁舎

守りたい遺産、旧大宜味村役場庁舎

先人が辿った歴史から、たくさんのことを学ぶことができます。
その意味で継承していくことの大切さ、記録として残すことの重要性を認識する
この頃です。

大正、昭和、平成、そして新たな時代を生きてそこに立ち続けている【旧大宜味村
役場庁舎】。
地域の方が大切に思い、残してきたこの建物の雄姿をこれからも見守り続けたいと思っています。



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Posted by 管理人@IC沖縄 at 09:26│Comments(0)日々の気づき
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